ボス戦前の小春日和

夏と冬、どちらが得意か。

そう聞かれたら考えて考えて考えた挙句夏だと答える。

冷え性にとって朝起きて布団をどけた途端に冷気が舞い込む冬は大敵だ。

この頃は毎朝泣きたくなりながら戦っている。

今が12月として、あとたっぷり3か月以上は寒さに耐える必要がある。

そしてまだこの時期は冬に入りかけと言ってもいいだろう。

これから増々太陽が遠ざかり、人々は着膨れし、トイレの便座は冷たくなってくのだ。

ああ考えただけで恐ろしい。

しかしなんの気遣いか知らないが、この季節にぽっかりと暖かく、春を思わせるような陽気に包まれる日がある。

名を小春日和という。

昨日も寒い、今日も寒かった、ああこれから冬なんだと寒さに対し気を引き締めていた矢先。

突然起きてみれば空気は柔らかく、その日だけは春のように穏やかなのである。

なにやら移動性高気圧というものが気を利かせ、これから冬に立ち向かわねばならない我々にエールを送ってくれているらしい。

さながらボス戦前の全回復&セーブポイントのように。

わたしのような冷え性だけではなく、冬季鬱病に毎年悩まされる方にも小春日和は優しくしてくれるだろう。

ありがたやありがたや。

やるじゃないか移動性高気圧。

夏と冬、どちらが好きか。

そう聞かれたら迷わず冬だと答えることが出来る。

寒くなればファーのついたお気に入りのコートを着れて、鍋料理に日本酒が最高に美味しくなる。

先に控えるクリスマスもお正月も楽しみだ。

小春日和はそんなことを思い出させてくれるセーブポイントである。