自分を癒す方法
ああ文字を読みたい、ずっと読んでいたい。
疲れたときやひどく頭が混乱した瞬間にこそわたしは強くそう思う。
これは禁煙中の人が煙草に手を伸ばしたくなる衝動とひどく似ているんじゃないかと思う。
仕事なり学校なりで拾った憂鬱な気分を家に持ち込むことになりそうになったら、あなたならどう自分を癒すだろうか。
例えば機嫌の悪い上司か先輩に、誰がどう見ても八つ当たりにしか見えない仕打ちをされたとしよう。
なんたる災難。
こんな災難に巻き込まれたらどう対処するか、ある友人に聞いたら「ピザ、ソファ、テレビ!」と返ってきた。
そんなときは洗い物のする必要ないピザを、ソファに埋まってテレビを見ながら食べるのが一番癒しに繋がるらしい。
許されるならお風呂も中止したい、と嬉しそうに語る彼女は純粋な日本人のはずなのにどこかアメリカンな発散の仕方をする。
ちなみにカッとなった気持ちを愛する旦那さんのいる家へ持ち帰らないためには、コーラの一気飲みが効果的とのこと。
禁煙をしたいしたいと長年思い続けているある友人には「缶チューハイとネット」だ。
遣り切れない思いを抱えたとき、彼にとっては高い酒より安い酒のほうが気分に合うらしい。
お酒を飲み、現実と違うネットの世界に浸れば次の日には気分もすっきりという寸法だ。
そして煙草は「知らないうちに吸っている」のだとか。
わたしの場合はまず活字をひたすら頭に流し込むことで気持ちを落ち着ける。
読書は煙草と違って電車内でも堂々と出来るので、まず帰宅前の移動時間中になにかしら読む。
この場合なぜかネット上にある活字を読んでもまったく効かない。
紙に印刷された、ある程度の長文ならば新聞でも中吊り広告でもなんでもいい。
音楽を聴くのと同じ感覚で活字を頭にひたすら流し込んでいると徐々に頭がほぐれてくる。
そのあとは家に帰るまでにコンビニへ寄り、ハーゲンダッツかワッフルコーンを処方してもらう。
あとは熱いお風呂に入り、ふかふか毛布とアイスと映画があれば完璧だ。
なにが癒しに繋がるかは本当に人それぞれ。
タイミング悪く災難に遭ってしまうのもその日時々。
どんなに落ち込んでも上手く自分の気持ちを前向きにさせてくれる方法を、誰だってよく知ってるのだ。