ペットボトルの水を買う

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実家を出るまではペットボトルの水をわざわざ買う意味がわからなかった。

高校時代、学校内にある自動販売機へ飲み物を買いに行くとおしゃれな友達がなぜかミネラルウォーターを買おうとする。

いやいやいやそれ水だよ?水買うの?と毎回聞いてしまったものだ。

高校生なんて限られたお小遣いで過ごす毎日で、そのお金で甘くもないお茶でもないただの水にお金を払うことが考えられなかった。

美容にいいとかダイエットにとか色々言われてるのは知っていても水は水。

水道水じゃぶじゃぶ飲めば十分だろうと考えがあった。

わたしの実家で飲める水道水はまったくにおいがせずまろやかで、そのまま飲んでもなんの問題もないものだったのだ。

こういうことは家を出てみて初めて知る。

初めて一人暮らしをしたアパートは実家とそんなに離れているわけでなく、両親もひょいとごはんを持ってきてくれるような気やすい距離だった。

それでも水道水の管轄は違い、その味といったら全く別ものだった。

コップを口元に近づけると鼻につくカルキ臭はとても飲める気にならない。

衛生的には厳しい管理基準の上になされてるんだから飲めるはずである。

でも、無理。正直むり。

本能的に飲んではいけないと教えてくれるようなにおいである。

納豆の臭さには慣れても水のカルキ臭さに慣れないのは何故だろう。

そういうわけで仕方なく、家で水を飲む場合は一度沸騰させてからにした。

昔知人から「うちではお母さんが水は沸騰させないと飲んじゃだめって言う」という話を聞いたときは過保護だな~と呑気に思っていたが、においの問題もあったのかもしれない。

しかし夏場は一度沸騰させ飲める温度まで待つのは億劫になり、わたしもペットボトルの飲料水を買うようになった。

ミネラルウォーター業界は果汁を絞ったりスパークリングさせたり、最近なにかと楽しそうだ。

普通の水だけでも硬水や軟水、海外のアルプス産もあれば日本の湧き水もあり沢山の種類から選べる。

このままだと水ソムリエなんてものが出てきそう、と思っていたらすでにあった。

アクアソムリエというのもあるらしい。

わたしはカルキ臭さからさえ解放されればいいやと思っているので基本どこのメーカーでも買ってしまう。

味の違いはいまいちわからないが、唯一懐かしさもあって美味しいと感じるのはやはり実家の水道水だと思う。

蛇口からコップへ直接ついで飲む、なんて外で水を買うより贅沢な暮らしだった。