本と人との結びつき

本を読むのがすきだ。

同じく読書が趣味だという人に会うことがあると、おすすめの本は必ず聞く。

案外本当に読書が趣味な人はいないものだからここぞとばかりに情報交換。

そしてどうやって本を調達するかにも興味がわく。

文庫本をひたすら買う、図書館で定期的に借りに行く、家族の本棚を漁る…

「読書はお金のかからない趣味」というが、スペースはとる。

いちいち買っていると読んだもの全てを収納するにはちょっときつくなってもくる。

この本はもう二度と開かないんじゃないか。

本を読み終わったときにそんなことを直感したりもする。

面白い面白くないの問題でなく、本と人とには合う合わないが絶対にあると思う。

一度読んだら満足する本と、カバーが擦り切れるまで繰り返し読んでしまう本は人それぞれだ。

さてどうしようかと考えたときに、ごく稀に知人の顔が浮かぶ。

あの人ならこの本を気に入ってくれるんじゃないか、あの人にとっては「合う本」なんじゃないかと嬉しい閃きだ。

しかし人に古本を押し付けるのはやはり気がひける。やはり。

その知人が日頃本を読まないたちだと尚更だ。

しかしそのまま月日がたち、ふとその知人と会うとき無意識にその本を鞄に入れて来てしまったりする。

そしてなんの偶然か知人がその本に興味を持ったとき、しめたとばかりに「好きそうだから良かったらあげるよ」と言ってみる。

ここぞとばかりに相手の興味をひきそうなセールストークもしかけてみる。

一度読んだことのある本なのだからそのくらいは軽い。

その知人が嬉しそうに本を手にとってくれたら成功だ。

そして後日めちゃくちゃ面白かったよなんて感想が送られてくると、その本の著者になったかのように得意になる。

そんなことがこれまで3回ほどあった。

本と人との結びつきは必ず存在すると思う。

キューピッド役になれたときの嬉しさといったらない。