カフェインを避けて

ランチメニューを見た瞬間困ってしまうことがある。

お昼の時間帯にファミレスやカフェに入れば大抵ある、メイン料理＋飲み物やサラダや時にはスープまでつけてくれるありがたいセットのあれだ。

飲み物は「ドリンクメニューからお選びください」が多いあれだ。

そして大抵選べるのはコーヒー、紅茶、オレンジジュース。

カフェインの苦手なわたしは何を選べばいいのかここで試されることになる。

断っておくがわたしはコーヒーや紅茶の「味が」だめなのではない。決して。

そこに含まれてる「カフェインが」だめなのである。

だめなのだ。

缶コーヒー１杯でも飲んでしまうと、悲しいことにその日は朝方まで眠れなくなってしまうほど弱い体質なのである。

それはもう遠足前の興奮して寝付けない子どものように。

次の日に早起きしなければいけなかったり大切な用事があった場合には命取りになってしまう。

至って健康な体だと自負しているが、わたしのようにカフェインを避けて暮らしている人もいる。

そこでこのドリンクメニューを見て、まずコーヒーは却下。

紅茶だってカフェインばっちりだ、当然避ける。

そうなると消去法で残るのは甘い甘いオレンジジュース。

頼むから麦茶を置いてくれと無茶なことを願ったりもする。

すると追加料金で頼めるノンカフェインのハーブティーが飲みたくなってくるという寸法だ。

このようにごく普通に暮らしていても当たり前のように「カフェイン」は立ちはだかる。

大勢へふるまわれる烏龍茶にも

喉が渇いた先の自動販売機にも

ちょっと風邪気味だからと手を伸ばす栄養ドリンクにも。

申し訳なくなるのが人から差し出されるカフェインだ。

コーヒーショップの店頭で振る舞われるコーヒーは笑顔で断らねばならない。

昔花屋でアルバイトをしていたときには店長がよく休憩前に缶コーヒーを買ってきてくれていた。

せっかく頂いたものだからと何度かは自分で飲んでいた、が、やっぱり眠れなくなってしまうので途中から持って帰って家族にあげていた。

そのうち店長も気づいて「寒いからいま飲んでいいよ」とにこにこ言ってくれる。

ここまできてやっとカフェインが苦手なことを打ち明けられた。

おおらかな店長はそうだったのかと笑い、次から紅茶を差し出してくれるようになった。

「コーヒーは苦くて飲めない」だと思ったんだろう。

さすがに申し訳なくて素直にお礼を言った。

最近ではペットボトルやカフェのメニューにも「ノンカフェイン」や「デカフェ」といった表記がされてるものが多くて本当に嬉しい。

「頼んだものがカフェイン入りだった」ときの夜の悲しさはないからだ。

それに飲めないものほど実は飲んでみたくなる。

カフェインレスで風味が落ちていたとしても、普通にはコーヒーを楽しめないわたしにはありがたい。